「ロマンシング サガ 3.12」(ロマサガ3.12)は、SFCの名作「ロマンシング サガ 3」をベースにした、有名な「改造版(ハックロム)」です。ロマサガ1や2、サガ フロンティアなどのイベントや仲間が追加されています。
この記事では、「ロマサガ3.12」とは何か、導入方法やプレイする上での注意点を詳しく解説します。
「ロマサガ3.12」とは?
「ロマサガ3.12」は、スクウェア(当時)が発売した公式のゲームではありません。
ロマサガシリーズを愛する有志によって制作された、ファンメイドの「改造版」です。ロマサガ3のシステムを基盤に、他のサガシリーズの要素を大量に追加しています。その完成度の高さから、「ロマサガシリーズの集大成」と評価する声も多い作品です。
具体的にどのような要素が追加されているのか、表にまとめました。
| カテゴリ | 追加・変更された内容 |
| ストーリー | 「ロマサガ1」や「ロマサガ2」のストーリーが追加 |
| サブイベント | 「サガ フロンティア」など、他シリーズのイベントや仲間キャラが多数追加 |
| キャラクター | シリーズの垣根を越えて、多くのキャラクターを仲間にできます |
| ゲーム難易度 | 原作(ロマサガ3)よりも大幅に上昇しています敵が非常に強く、 やりごたえがあります |
| システム | 原作ではサポート役だった「術」が全体的にかなり強化されています 術を使わないとクリアが難しい場面も多いです |
プレイする前の重要な注意点
「ロマサガ3.12」を遊ぶ前に、必ず理解しておくべきことがあります。
これは公式のゲームではなく、あくまで「改造版(ハックロム)」であるという点です。
著作権的には「限りなくブラック」な領域のものです。そのため、改造や同人活動といったファンメイドの作品が好きではない方には、オススメしません。
「ロマサガが好きで、その上で内容を理解し、すべて自己責任でプレイする」という方のみが対象となるゲームです。この記事も、上記を理解された方に向けて解説を進めていきます。
「ロマサガ3.12」のダウンロード方法
「ロマサガ3.12」は、ゲームソフトそのものとして配布されてはいません。「パッチファイル」と呼ばれる、改造データのみが配布されていました。
プレイヤーは、自分で用意した「ロマサガ3」のROMファイルに、そのパッチを適用して「ロマサガ3.12」のROMファイルを作成します。
パッチファイルの現在
重要な点として、「ロマサガ3.12」の最新パッチは2019年に公開終了となっています。製作者の要望により、再配布は禁止されています。
そのため、このゲームを今から作成するには、過去に配布されていた時期に、ご自身でパッチファイルをダウンロードしている必要があります。
準備するもの
「ロマサガ3.12」のROMファイルを作成するには、いくつかのツールやファイルが必要です。事前に以下のものを準備してください。
| 必要なもの | 概要・役割 |
| 1. SFC版「ロマサガ3」カセット | パッチをあてる大元となる、オリジナルのゲームソフトです |
| 2. ROM吸出し機 | 1.のカセットから、ゲームデータ(ROMファイル)をPCに抽出する機械です (例:Superufo pro 8、特定のソフトを入れたレトロフリーク など) |
| 3. オリジナルの「ロマサガ3」ROM | 2.の機械で吸い出した、PC上のゲームファイルです |
| 4. 「ロマサガ3.12」パッチファイル | 過去にご自身でダウンロードしておいた改造データです (※現在、公式な配布は終了しています) |
| 5. パッチ適用ツール | 3.のROMに4.のパッチを適用するためのPCソフトです(例:RS3ExTool2) |
| 6. ヘッダ削除ツール(※必要な場合) | ROMのヘッダ情報を削除するソフトです (例:Stirling などのバイナリエディタ) |
ROMファイルの作成手順
準備ができたら、いよいよROMファイルを作成します。
手順は少し複雑ですが、一つずつ確認しながら進めましょう。
Step 1:「ロマサガ3」のROMを吸い出す
まず、SFCカセットからROM吸出し機を使い、「ロマサガ3」のROMファイルをPCに保存します。
Step 2:ROMファイルのバージョンを確認する
「ロマサガ3.12」のパッチをあてるには、ベースとなるROMが「バージョン1.1」かつ「ヘッダ無し」である必要があります。
「RS3ExTool2」というツールで、吸い出したROMファイルを開き、バージョンとヘッダの有無を確認してください。(※カセット裏面の刻印が「V」だとバージョン1.1らしい、という情報もあります)
Step 3:(v1.0だった場合) v1.1に変換する
もしROMが「バージョン1.0」だった場合は、変換パッチ(例: RS3_1.0-200h_to_1.1.ips)をあてます。「RS3ExTool2」のパッチリストに、このv1.1変換パッチをドラッグ&ドロップして適用してください。
Step 4:(ヘッダ有りだった場合) ヘッダを削除する
もしROMが「ヘッダ有り」と判定された場合は、ヘッダを削除します。
- 「Stirling」などのバイナリエディタでROMファイルを開きます。
- 00000000 〜 000001F0 の範囲をマウスで選択します。
- 選択範囲を削除します。
- ファイルの先頭(00000000)が 78 18 FB E2 で始まっていればOKです。
- 上書き保存します。
Step 5:「ロマサガ3.12」のパッチを適用する
作業前に、Step 4で完成した「v1.1ヘッダ無しROM」を必ずバックアップ(コピー)してください。
- 「RS3ExTool2」で、バックアップ元の「v1.1ヘッダ無しROM」を開きます。
- パッチリストに、用意しておいた「ロマサガ3.12」のパッチファイルをドラッグ&ドロップします。
- 「パッチ適用」ボタンを押します。
- これで「ロマサガ3.12」のROMファイルが生成されます。
(※動作確認は、SFC実機で行うより先に、PCのエミュレータで行う方が簡単です)
SFC実機でプレイする方法
作成した「ロマサガ3.12」は、エミュレータだけでなく、スーパーファミコンの実機でもプレイ可能です。
その場合は、「SUPER EVERDRIVE」のような、SDカードからROMを読み込める特殊なカセット(フラッシュメモリ)が必要になります。
作成したROMファイルをSDカードに入れ、それを「SUPER EVERDRIVE」に挿し込みます。あとは「SUPER EVERDRIVE」をSFC本体にセットすれば、実機で遊ぶことができます。
注意点
「ぼくのかいぞうしたさいこうの3.12」など、一部のハックロムはファイルサイズ上限の問題で「SUPER EVERDRIVE」では動作せず、「SD2SNES」などの別の機械が必要な場合もあるようです。
ゲームプレイの注意点
「ロマサガ3.12」は原作と比べて難易度や仕様が大きく異なり、知らずに進めると詰んでしまう可能性もあります。特に注意すべき点を表にまとめました。
| 注意点の種類 | 具体的な内容や例 |
| 戦闘難易度 | ・敵が強い ・ワンパン1000ダメージ超え、複数回行動、即死攻撃が当たり前に発生 ・最大限に対策しても「運ゲー」になることが多い |
| 術(魔法)の重要性 | ・「強武器の強技が最強」という原作の戦い方では詰む ・攻略には回復や補助の術が欠かせない |
| 詰み要素 | ・特定のボスを倒すまでダンジョンから出られない、といった原作の要素が残っている (例:マキシムスイベントでの地下、死者の井戸など) |
| イベント進行不可 | ・イベント中に特定の仲間を外すと、進行不可になる場合がある(例:アセルス) ・パーティ満員で仲間にしなかった場合、二度と登場しないキャラもいる(例:ヨハン) |
| 時限イベント | ・「教授のペット捜索」は、序盤に消滅しやすいようです ・「アリだー!」イベントは、アイテムを渡さないと消滅します(敵が強くなる前のクリア推奨) |
| デバッグ機能のバグ(2周目) | ・2周目からのデバッグ機能は、バグの原因になることがあります ・「バトルオフモード」中にイベントを進めると、敵シンボルが出現せず進行不可になる場合がある |
まとめ
今回は、ロマサガ3.12の概要から、ROMファイルの作成方法、プレイ上の注意点までを解説しました。公式のゲームではありませんが、ロマサガファンにとっては夢のような追加要素が詰まった作品ですね。
遊ぶ際は、あくまで「自己責任」となる点を忘れずに、ロマサガの世界を楽しんでみてくださいね!








